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南阿蘇でコーヒーを育てる|9月、再び咲いた花と秋を前にしたコーヒーの木
9月13日、南阿蘇の後藤コーヒーファームを再訪。オーナーの木の脇芽を摘み、再び咲いた花や育つチェリー、害虫、自然発芽苗を観察。秋を前にしたコーヒー栽培の難しさを学びました。
目次

9月13日、約1か月ぶりに南阿蘇の後藤コーヒーファームを訪れました。
後藤コーヒーファームには、コーヒーの木を1本単位でオーナーとして持てる制度があります。私もその一本のオーナーになっていて、訪問のたびに自分の木の手入れをしながら、成長を記録しています。
今回見てきたのは、一か月でまた伸びた脇芽、9月に再び咲いた花、大きくなったコーヒーチェリー、新しい葉の食害、根元で自然発芽した苗、そしてさらに背を伸ばした3年目の木。
さらに、自宅で育てているコーヒーの木の相談もしてきました。
※記事中の「コナ由来のコーヒーの木」は、後藤コーヒーファームでそのように呼ばれている木です。品種・系統を特定したものではなく、ハワイ・コナ地区産の「コナコーヒー」という意味ではありません。
この日の南阿蘇の最高気温は29.4℃(気象庁アメダス南阿蘇)。
晴れるとまだ暑さを感じますが、雲が出ると少し涼しく、8月の訪問時とは空気が変わり始めているように感じました。
農園へ向かう途中、9時30分頃には新阿蘇大橋近くのkibacoへ。今回は、前回気になっていた「リボンソフト」を食べてから農園へ向かいました。
→ 南阿蘇のソフトクリームならkibaco|新阿蘇大橋を眺めて味わう生ソフト
10時頃、後藤コーヒーファームに到着。今回も、自分のオーナーの木の手入れから始まりました。
一か月でまた伸びた脇芽|小さいうちに摘む理由
私がオーナーになっているのは、後藤コーヒーファームにある「コナ由来のコーヒーの木」の一本です。
先月の訪問でも脇芽を摘みましたが、それから約1か月。木を見てみると、新しい脇芽があちこちから伸びていました。

後藤さんは、遠方に住んでいてなかなか農園へ来られないオーナーの木については、普段から脇芽を摘むなどの管理をされています。
一方、私の木については、訪問時に自分で作業できるよう、あえて脇芽を残してくださっていました。
小さな脇芽は手で簡単に摘めますが、少し伸びると茎もしっかりしてきます。
「脇芽は小さいうちに取った方が作業しやすい」
ということを、今回も実際に触りながら確認しました。
摘み終えて容器に集めてみると、一か月分でもかなりの量になります。コーヒーの木の成長力を、あらためて感じました。

9月11日、コーヒーの花が再び咲いた
農園の木を見ていると、白いコーヒーの花がところどころに残っていました。
後藤さんによると、9月11日に再び花が咲いたとのこと。訪問した13日には少し萎み始めていましたが、私のオーナーの木にも花が見られました。
【2026年10月追記】 農園から届いた農園通信(2026年10月12日付)では、今年は5月にいちばん多く花が咲き、その後も9月まで、おおよそ半月おきに開花が続いたと紹介されていました。この9月の花も、その流れの一つだったようです。

枝には、すでに大きくなっている緑色のコーヒーチェリー。そのすぐ近くに、新しく咲いた白い花があります。
最初に見たときは、
「また花が咲いたなら、ここにも実が増える」
と単純に嬉しく思いました。
ところが、後藤さんの話を聞くと、喜んでばかりはいられないようです。
コーヒーの花が受粉して実になっても、これから気温が下がるまでに十分な大きさまで育てられるかどうかが重要なのだそうです。
後藤さんのこれまでの栽培経験では、遅い時期に咲いた花からできた実が、冬までに十分成長できなかった場合、寒い時期には小さいまま成長が止まり、結果として良いコーヒーになりにくいことがあるとのことでした。
一昨年の後藤コーヒーファームでも、遅い時期に花が多く咲いた年があったそうです。

今回咲いた花も、これから着果し、気温が下がるまでにどこまで大きくなれるか。それが、その先の品質にも関係してきます。
「花が増える」「実が増える」だけを見れば収穫量が増えそうに思えます。
しかし実際には、花が咲く時期、気温、実が成長できる期間まで考えなければならない。自然を相手にコーヒーを育てる難しさを、またひとつ知りました。
ちなみに、農園で花が再び咲いたこの9月11日は、自宅で蒔いたコーヒーの種が発芽した日でもありました。後で気づいた偶然です。
8月からさらに大きくなったコーヒーチェリー
もちろん、以前から育っているチェリーは順調に大きくなっています。

8月に訪れたときにも実の成長を感じましたが、一か月経つとさらに存在感が増していました。
枝いっぱいに緑色のチェリーが並んでいる姿を見ると、収穫までの過程を毎月追いかけられることが、オーナー制度の面白さだと感じます。
→ 南阿蘇でコーヒーを育てる|8月、一か月で大きくなったチェリーと自然に芽生えたコーヒー
新しい葉に大きな食べ跡|害虫を見つけて取り除く
木を見ていると、一部の葉が大きく食べられているところもありました。

特に、比較的新しい葉や枝の先端に近いところに食害が見られます。
後藤さんが葉の周辺を注意深く探していると、シャクトリムシのような蛾の幼虫と思われるものが見つかりました。コーヒーの木にとっては害虫になるとのことで、その場で取り除きました。
後藤さんによると、新しい食べ跡があれば、その近くに原因となった虫がまだいることもあるそうです。
ただ木を眺めるだけなら、
「葉が少し欠けている」
で終わってしまいそうな変化です。
そこから原因を探し、早めに対処する。こうした小さな観察の積み重ねも、栽培では重要なのだと思います。
オーナーの木の下で自然発芽した苗も成長
先月の訪問で驚いたことのひとつが、私のオーナーの木のすぐそばで、自然にコーヒーが発芽していたことでした。
一か月後に見てみると、その苗も少し大きくなっていました。

左が8月、右が9月。こうして並べてみると、一か月の成長がよく分かります。
人がポットに種を蒔き、温度や水分に悩みながら育ててもなかなか発芽しない一方で、農園では木の下に落ちた種から自然に芽が出ています。
ちょうど私自身も、自宅で蒔いた12粒の種のうち、ようやく1粒が発芽したところでした。6月21日に種を蒔いて、最初の変化に気づいたのは9月11日。82日後でした。
その苗も今回、農園へ持参し、後藤さんに見てもらいました。
→ コーヒーの種が82日後に発芽|12粒中1粒、初めての種まきで学んだこと
なお、農園では品種ごとにラベルを付けて育苗もされています。

同じ「コーヒーの苗」でも、自然に芽生えたものと、計画的に育てられているものが並んでいるのが、農園らしいところだと感じました。
3年目の木は身長を超えそう|先端を切る理由
8月にも観察した、3年目と伺っている別のコーヒーの木。こちらもさらに成長していました。

かなり背が高くなり、私の身長を超えそうなくらいです。
木が大きくなること自体は嬉しく感じますが、ここでも「大きければ大きいほど良い」というわけではありませんでした。
これ以上高くなると、実ができたときの収穫が難しくなります。さらに、ここはビニールハウスの中です。
後藤さんから、
「一番高い先端は切ってもよい」
と教えていただき、今回は先端をカットしました。

伸ばすだけでなく、必要なところで成長を抑える。脇芽摘みもそうですが、収穫や管理を考えながら木の形を整えていくことも、コーヒー栽培の一部なのだと感じました。
水のやりすぎかもしれない|鉢の重さで判断する
今回はもうひとつ、自宅で育てているコーヒーの木も農園へ持参しました。
スーパーで購入した一鉢を2株に分けて育てているものです。
大きい方は比較的元気に見えるものの、小さい方は下の葉から枯れ、新しい芽もなかなか伸びない状態が続いていました。同じように育てているつもりなのに、2株で状態が違います。
後藤さんに見てもらうと、根の周りに空気が足りていないのではないか、という話になりました。つまり、水を与えすぎている可能性です。
根にも空気が必要なので、水はけの良い土を使うことが大切。ただし水はけを良くすれば乾きやすくもなるため、「たくさん与える」「控える」の二択ではなく、土の状態を見ながらタイミングを判断することが大事ということでした。
そこで教えてもらった、分かりやすい方法が、
ポットを持ち上げて重さを見ること。
乾いた土を入れたポットと比べると、小さい木のポットは確かに明らかに重く感じました。
表面だけを見て、
「乾いているから水をあげよう」
と判断するより、鉢全体の重さを覚える。
簡単そうですが、実際に植物を育ててみると、こうした感覚を身につけるにも経験が必要なのだと思います。
土の選び方や水やりの詳しい話は、自宅の木の記録にまとめています。
→ 自宅でコーヒーの木を育ててみた|300円の苗と、ポリポットでの植え替え記録
石脇さんの本と、南阿蘇のコーヒー
この日は、後藤さんから以前教えていただいた石脇智広さんの著書『プロが教える「コーヒー」とっておきの楽しみ方』についても話しました。
本の第6章「世界のコーヒー生産国」の中では、南阿蘇でのコーヒー栽培についても触れられています。
後藤さんによると、石脇さんには後藤コーヒーファームを始めた頃から応援していただいているとのこと。また、この日は石脇さんが出演されたラジオ番組についても教えていただきました。
南阿蘇で続けられてきた小さな栽培の取り組みが、こうしてコーヒーの専門家の目に留まり、本やラジオにつながっている。その話を農園で聞くと、本を読んだときとはまた違った実感がありました。
→ 南阿蘇のコーヒー農園で教えてもらった一冊|石脇智広さん『プロが教える「コーヒー」とっておきの楽しみ方』を読んで
今回、後藤さんに教えていただいたこと
9月の訪問で教わったことを、あらためて整理しておきます。
- 脇芽は小さいうちに摘む。 伸びてから摘むより作業がしやすい
- 遅い時期に咲いた花には注意が必要。 気温が下がるまでに実が十分成長できないと、小さいまま止まってしまうことがある
- 新しい食害を見つけたら、周辺を探す。 原因となった虫がまだ近くにいることがある
- 木が高くなりすぎたら先端を切る。 収穫のしやすさと、ハウスの高さの都合がある
- 水やりは土の表面ではなく、鉢全体の重さで判断する。 乾いた土のポットと持ち比べると分かりやすい
- 根にも空気が必要。 水はけの良い土を使う。ただし乾きやすくなるため、水切れにも注意する
9月の農園で感じたこと
8月までは、チェリーが大きくなることや苗が芽を出すことなど、「成長すること」に目が向いていました。
9月になると、その成長をどう整えるのかという新しい視点が加わりました。
育つことが、そのまますべて良いことではない。
自然を相手にコーヒーを育てることは、ただ大きくすればよいのではなく、その時々の状態を見ながら、ちょうどよいところに整えていくこと。少しずつですが、その意味が分かってきたように思います。
次に訪れるとき、今回咲いた花からできた実がどこまで成長しているのか。8月から追いかけているチェリーは、どこまで色づいているのか。
また続きを記録していきたいと思います。
後藤コーヒーファーム訪問記シリーズ
- 7月|脇芽摘みと木酢液
- 8月|一か月で大きくなったチェリーと自然に芽生えたコーヒー
- 9月|再び咲いた花と秋を前にしたコーヒーの木(この記事)
- 10月|冬支度が始まる農園と成長するチェリー


