コーヒーの種が82日後に発芽|12粒中1粒、初めての種まきで学んだこと

コーヒーの種が82日後に発芽|12粒中1粒、初めての種まきで学んだこと

南阿蘇の後藤コーヒーファームのオーナーの木から採れた種を12ポットに蒔き、82日後にようやく1粒が発芽。発芽率が低かった理由と、初めての種まきで学んだことを記録します。


目次
  1. 82日間の経過
  2. 6月21日、12粒のコーヒーの種を蒔いた
  3. 7月11日、「少し深いかもしれない」と教わる
  4. 同じ日、3ポットだけ室内へ
  5. 40日を過ぎても、土の上には何も出てこない
  6. 8月8日、それでも発芽はゼロ
  7. 途中で、種がなくなったと思われるポットも
  8. 9月11日、ひとつの種が少し浮いている?
  9. 9月12日、明るいところで発芽を確認
  10. 妻も、思った以上に喜んでいた
  11. 翌日、種を持ち上げる茎が見えるように
  12. 発芽率が低かったと考えられる理由
  13. 今回の発芽率は12粒中1粒
  14. 9月17日、茎はさらに伸びた
  15. 発芽して終わりではなかった
  16. まとめ|「何も起きない82日間」も、種まきの一部だった

82日後に発芽したコーヒーの芽。細い茎が種を高く持ち上げている

6月21日、南阿蘇の後藤コーヒーファームでオーナーになっている「コナ由来のコーヒーの木」から採れた種を、12個のポリポットに蒔きました。

後藤さんから聞いていた発芽までの目安は、この時期ならおよそ40日。

ところが、待ってもなかなか芽が出てきません。

梅雨は例年よりかなり早く明け、今度は40℃近い暑さの日も続きました。

「今回はもうダメだったのかもしれない」

そう思い始めていた9月11日の夜。

仕事から帰ってベランダを見ると、ひとつのポットで、コーヒーの種がほんの少し土から持ち上がっているように見えました。

6月21日に種を蒔いてから、82日後のことでした。

翌朝、明るいところでもう一度確認すると、種の下には細い茎のようなものが見えています。

どうやら、本当に発芽したようです。

今回は、12粒のコーヒーの種を蒔いてから最初の1粒が芽を出すまでの約3か月と、なぜ発芽率が低かったのかについて、後藤さんから教えていただいたことも含めて振り返ってみます。

※今回使ったのは、後藤コーヒーファームにある「コナ由来のコーヒーの木」から採れた種です。品種・系統を特定したものではなく、ハワイ・コナ地区産の「コナコーヒー」という意味ではありません。

この記録の要点

  • 今回の条件:梅雨の最中の6月21日に、12ポットへ種まき。最初は指の第一関節ほどの深さに植え、7月11日に表面近くまで出して新聞紙で遮光。3ポットは室内へ移動
  • 結果:82日後の9月11日に、12粒中1粒が発芽(約8%)
  • 次に変えること:4月頃の管理しやすい時期に蒔く/深く植えすぎない/遮光ネットで風通しも確保する

※1回だけの種まきの記録です。一般的な発芽率や、最適な方法を示すものではありません。

82日間の経過

日付経過日数出来事
6月21日0日12ポットに種まき(指の第一関節ほどの深さ)
7月7日頃16日九州北部地方が梅雨明け(気象庁確定値)
7月11日20日浅植えの助言を受け、種を表面近くまで出す。遮光を開始し、3ポットだけ室内へ
7月末約40日発芽の目安とされる40日を過ぎるも変化なし
8月8日48日農園で相談。発芽はゼロ
9月11日82日1ポットで種が土から持ち上がる
9月17日88日茎がさらに伸びる

6月21日、12粒のコーヒーの種を蒔いた

種まきについては、前回の記事で詳しく紹介しました。

→ コーヒーの種を植えてみた|オーナーの木から採れた種で種まきに挑戦

自分のオーナーの木から収穫したコーヒーチェリー。

その種を捨てずに取っておき、

「ここからもう一度、コーヒーの木を育てられないだろうか」

と考えたのが始まりでした。

知り合いの農家の方にも手伝ってもらい、育苗用の土を入れたポリポットを12個用意。

6月21日、それぞれに1粒ずつ種を蒔きました。

このときは一般的な種まきの感覚で、指の第一関節ほどの深さに種を入れています。

後になって分かったのですが、ここが今回の最初の反省点のひとつになりました。

7月11日、「少し深いかもしれない」と教わる

種を蒔いてから約3週間後の7月11日。

後藤コーヒーファームを訪れた際、後藤さんに種を蒔いたことを報告しました。

→ 7月の後藤コーヒーファーム訪問記

そのときに聞かれたのが、

「どのくらいの深さに植えましたか?」

ということでした。

「指の第一関節くらいです」

と答えると、コーヒーの種としては少し深いかもしれないとのこと。

深く植えると湿気がこもりやすくなり、カビが生えることもあるため、種が見えるか見えないかくらい、少しだけ土がかぶる程度でもよいと教えていただきました。

そこで自宅に戻ってから、慎重に土をどけ、種を表面近くまで出してみることにしました。

浅植えに植え直す途中の12ポット

種を表面近くまで出し終えた12ポット

12個を見てみると、種の表面に土がこびりついているものもあります。

中には白っぽく見える部分があり、

「これはカビだろうか?」

と思ったものもありました。

白っぽいものが付着していた種を赤丸で囲った12ポットの俯瞰

ただ、素人目では、カビなのか、単に土が付着しているのかまでは分かりません。

明らかにダメだと言い切れるものも判断できなかったため、すべてそのまま観察を続けることにしました。

種を蒔いた6月下旬はまだ梅雨の最中で、雨や曇りの日も多かったため、この時期は遮光をしていませんでした。

ところが7月8日、気象庁から九州北部地方が「梅雨明けしたとみられる」と発表がありました(のちの確定値では7月7日頃。平年は7月19日頃なので、かなり早い梅雨明けでした)。

ここから強い日差しと高温の日が続くようになったため、直射日光を避けようと、ポットの上に新聞紙をかけて遮光することにしました。

この時点では、種を蒔いてからまだ20日ほど。

発芽まで40日程度と聞いていたこともあり、まだしばらく待ってみようと思っていました。

同じ日、3ポットだけ室内へ

梅雨が明けると、ベランダはかなり暑くなりました。

7月11日の熊本市の最高気温は36.7℃。

ベランダは日によって40℃近くになることもあります。

「さすがに、この環境はコーヒーの種には暑すぎるのではないか」

そう考え、種を表面近くまで出したこの日、12個のうち置き場所を確保できた3ポットだけ室内へ移動させることにしました。

猛暑を避けて室内へ移した3ポット

本当は全部室内に入れることも考えましたが、12ポットを置けるだけのスペースはありません。

そのため、

3ポットは室内。

残りはベランダで遮光しながら管理。

という形で様子を見ることにしました。

この判断が正しかったのかどうかは、この時点ではまったく分かりませんでした。

40日を過ぎても、土の上には何も出てこない

7月末頃。

種を蒔いてから40日ほどが経ちました。

しかし、土の上には変化がありません。

種が持ち上がる様子もなければ、茎らしいものも見えません。

最初のうちは毎日のように、

「今日は何か変化があるかな」

とポットを眺めていましたが、だんだんと期待も薄れていきました。

8月8日、それでも発芽はゼロ

次に後藤コーヒーファームを訪れたのは8月8日。

種を蒔いてから1か月半ほどが経っていました。

それでも、発芽は0/12。

農園では、6月頃に種を蒔いたコーヒーがすでに発芽し、元気に育っていました。

自宅のポットはほとんど変化がないのに、農園の苗は明らかに成長しています。

「やはりプロは違うな」

と思わずにはいられませんでした。

→ 南阿蘇でコーヒーを育てる|8月、一か月で大きくなったチェリーと自然に芽生えたコーヒー

この日、後藤さんに、

「まだひとつも発芽していません」

と伝えました。

すると、種が残っていれば、植えてから3か月ほど経ってから発芽することもあると教えていただきました。

その言葉を聞いて、

「それなら、もう少し待ってみよう」

と思うことができました。

途中で、種がなくなったと思われるポットも

観察を続けている間には、別のトラブルもありました。

強い風でポットの土が乱れ、ひとつは、おそらく種そのものが飛んでしまったと思われる状態になりました。

種を探してみても、それらしいものは見つかりません。

それでも、残りのポットについては変化があるかもしれないと思い、そのまま管理を続けました。

9月11日、ひとつの種が少し浮いている?

8月を過ぎても発芽はありません。

正直なところ、この頃にはかなり諦めかけていました。

そして9月11日の夜。

仕事から帰って、いつものようにベランダのポットを見ると、ひとつだけ様子が違いました。

種が、土の表面から少し持ち上がっているように見えます。

「こんな感じだったかな?」

暗い中でよく見ると、種の下に何かが伸びているようにも見えました。

ただ、この時点ではまだ半信半疑です。

「明日の朝、明るくなってから見てみよう」

そう思って、その日はそのままにしました。

9月12日、明るいところで発芽を確認

翌朝。

改めて確認すると、種の下から細い茎のようなものが伸びています。

発芽していました。

6月21日に種を蒔き、最初の変化に気づいたのが9月11日。

82日後、12粒のうちようやく1粒です。

赤丸が発芽したポット、青四角が種が飛んだと思われるポット(ベランダの9ポット)

ここでもうひとつ意外だったことがあります。

今回発芽したのは、途中から室内へ移した3ポットではありませんでした。

ずっとベランダで管理していたポットのひとつです。

写真では、青い四角で囲ったポットの隣にある赤丸のポットです。

だからといって、

「ベランダ管理の方がよかった」

とは言えません。

まだ発芽したのは1粒だけですし、それぞれの種の状態も同じだったとは限りません。

ただ、

「暑すぎるから、室内に移した方が発芽しやすいのではないか」

と思っていた私にとっては、少し意外な結果でした。

妻も、思った以上に喜んでいた

発芽したことを妻にも伝えました。

すると、思っていた以上に喜んでいました。

後から聞くと、いつまで経っても何も出てこないポットを見ながら、

「もうダメなんじゃないかな」

「いつ処分するんだろう」

と思っていたそうです。

それでも、

「もう捨てたら?」

と言えば、私がショックを受けるだろうと思い、あえて口には出さずにいてくれたとのこと。

その話を聞いて、少し笑ってしまいました。

傍から見れば、土の入った黒いポットを何か月も並べていただけです。

それでも、82日後にたったひとつ種が持ち上がっただけで、二人で喜べる。

実際に種から育ててみたからこそ感じられた瞬間だったと思います。

翌日、種を持ち上げる茎が見えるように

9月13日。

前日よりも、種を持ち上げている茎がはっきりと見えるようになりました。

9月13日、土から伸びた茎が種を持ち上げ始めた様子

ちょうどこの日は、約1か月ぶりに後藤コーヒーファームを訪れる予定でした。

せっかくなので、このポットも車に積んで南阿蘇へ。

6月に「種を蒔きました」と報告していたものを、約3か月後、ようやく芽が出た状態で見てもらうことができました。

発芽率が低かったと考えられる理由

農園では、今回なかなか発芽しなかった理由についても相談しました。

もちろん、一度の種まきだけで原因を断定することはできません。

ただ、今回の経過と、後藤さんからいただいたアドバイスを振り返ると、いくつか思い当たる点があります。

1.最初に種を深く植えすぎた可能性

最初は指の第一関節ほどの深さに植えていました。

7月11日に後藤さんへ相談したところ、種が見えるか見えないか程度でもよいと教えていただきました。

深く植えることで湿気がこもり、カビが生えやすくなった可能性があります。

2.種を蒔いた時期が梅雨だった

種を蒔いた6月21日は梅雨の最中でした。

湿度が高い状態が続いたことで、カビが生えやすい環境になっていた可能性もあります。

途中で種を表面近くまで出して確認した際には、カビにも見える白っぽいものが付いている種もありました。

ただし、それが本当にカビだったかどうかは確認できていません。

もっとも、後藤さんは農園で同じ時期に種を蒔き、問題なく発芽させています。

つまり「梅雨に蒔いたから発芽しない」ということではなく、湿度が高くカビが生えやすい環境を、素人の私がうまく管理できなかった、ということなのだと思います。

3.梅雨明け後は一気に高温になった

梅雨が明けると、今度は40℃近い暑さの日もありました。

発芽を待つ環境としては厳しかった可能性があります。

後藤さんからは、次に挑戦するなら、4月頃の20〜30℃くらいの環境の方が管理しやすいのではないかとアドバイスをいただきました。

4.新聞紙による遮光は、蒸れにつながった可能性も

梅雨明け後、直射日光を避けるために新聞紙をかけていました。

この方法について9月13日に後藤さんへ話したところ、新聞紙では蒸れやすくなる可能性もあるので、遮光ネットの方がよいのではないかと教えていただきました。

日差しを避けることだけを考えていましたが、

遮光しながら、風通しも確保する。

という視点も必要だったようです。

今回の発芽率は12粒中1粒

種を蒔いた12粒を基準にすると、今回確認できた発芽は1/12、約8%でした。

なお、途中で1ポットは種そのものを確認できなくなっています。

いずれにしても、農園で後藤さんが管理しているものと比べると、かなり低い結果になりました。

ただ、初めて種から育ててみたことで、

種を植える深さ、湿度、高温、遮光、風通し、水分管理、種を蒔く時期。

発芽までに考えなければならないことが、思っていた以上に多いことも分かりました。

そして何より、発芽までの日数は目安通りにいかないこともある、ということを、自分で待ってみて初めて実感しました。

9月17日、茎はさらに伸びた

発芽を確認してから数日。

9月17日に見ると、茎はさらに伸びていました。

9月13日の芽

9月14日、茎が伸びてきた芽

9月17日、さらに茎が伸びて種を高く持ち上げた芽

まだ葉は開いておらず、種を頭に載せたような姿です。

発芽するまでの82日間は、毎日見てもほとんど変化がありませんでした。

それだけに、発芽してから数日の変化はとても速く感じます。

発芽して終わりではなかった

ようやく発芽したので一安心。

そう思ったのですが、まだ油断はできないようです。

後藤さんによると、この状態から双葉がしっかり開くまでにも時間がかかり、1か月ほどかかることもあるとのこと。

まだ非常にデリケートな時期で、途中でうまく育たなくなることもあるそうです。

水をやりすぎてもいけない。

少なすぎてもいけない。

ようやく出てきた芽だからこそ、ここからは慎重に管理していきたいと思います。

まとめ|「何も起きない82日間」も、種まきの一部だった

12粒のうち、芽が出たのは1粒。

決して高い数字ではありませんし、失敗した部分も多かったと思います。

次に挑戦するなら、4月頃の比較的管理しやすい時期を選び、種を深く植えすぎず、遮光ネットで風通しも確保する。

今回の経験から、まず試してみたい改善点はこの3つです。

それでも、一粒が実際に土の中から出てきたことで、それまで何も起きていないように見えた82日間も、種まきの時間だったのだと感じました。

後藤コーヒーファームで、自分のオーナーの木から採れたコーヒーチェリー。

そこから取り出した種を自宅で蒔き、今度は小さな芽になりました。

9月17日現在、まだ双葉は開いていません。

この先、無事に育つのかも分かりません。

だからこそ、この続きを記録していこうと思います。

木から種へ。種から、もう一度木へ。

「木から杯まで」の途中に、またひとつ新しい過程が加わりました。


→ 前編:コーヒーの種を植えてみた|オーナーの木から採れた種で種まきに挑戦

→ 7月の後藤コーヒーファーム訪問記

→ 8月の後藤コーヒーファーム訪問記

→ 9月の後藤コーヒーファーム訪問記