小麦コーヒーを自家焙煎したら、コーヒーのすごさが分かった|KAKACOOで50分、ドリップ失敗の記録
小麦をKAKACOOで50分焙煎し、小麦コーヒー作りに挑戦。ペーパードリップは目詰まりし、粒のまま・挽いた状態で煮出して比較しました。失敗を通して、コーヒー豆の構造や抽出のしやすさを実感した記録です。
目次
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この記事でわかること
- KAKACOO焙煎機で小麦を焙煎した実際の記録(温度・時間・重量)
- 小麦コーヒーはペーパードリップできるのか(結論:今回の条件では詰まりました)
- 煮出しでの淹れ方と、粒のまま・挽いた状態での抽出の違い
- 50分焙煎した小麦が、麦茶とコーヒーの間のような味になった記録
はじめに — 後藤さんに教わった「小麦コーヒー」
きっかけは、後藤コーヒーファームでした。農園ではコーヒーだけでなく小麦も育てられており(→ハウスに吊るされた麦の写真)、後藤さんから「小麦を焙煎した小麦コーヒーというものがある」と教えていただきました。
後藤さんから小麦を少し分けていただいたのですが、実験するには量が心もとなかったため、青森県産の玄小麦を購入しました。
結論から言うと、今回の条件で作った小麦コーヒーは、普段飲んでいるコーヒーの代わりにはなりませんでした。しかし、コーヒーではないものを焙煎して淹れてみたことで、コーヒー豆という素材の性質について、いろいろと気づかされることがありました。失敗も含めて、その記録です。
焙煎 — KAKACOOで50分、ハゼは分からずじまい
小麦200gをKAKACOO焙煎機で焙煎しました。玄小麦の状態から、洗わず乾いたまま投入しています。今回は食品用として購入した玄小麦を使い、焙煎前の水分量を増やさないため、洗わずに投入しました。商品の状態や表示によって判断は異なります。

焙煎の経過は以下の通りです。
| 時間 | KAKACOO温度計の表示 | 様子 |
|---|---|---|
| 0分 | 120℃で予熱→投入で80℃台に低下 | |
| 9分 | 143℃ | 煙が出てきた |
| 15分 | 170℃ | 香ばしい香り |
| 17分 | 180℃ | |
| 20分 | 185℃ | 表面が黒っぽくなりはじめる |
| 30分 | 186℃ | 表面からだんだん黒っぽく |
| 35分 | 196.5℃ | |
| 40分 | 201℃ | |
| 45分 | 202℃ | |
| 50分 | 201℃ | 焙煎終了 |
※温度はKAKACOOに取り付けた温度計の表示値で、小麦粒そのものの品温ではありません。今回の焙煎経過を比較するための目安として記録しています。

20分を過ぎたあたりからは大きな見た目の変化はなく、じわじわと焙煎が進んでいく状態が続きました。煙は少量ずっと出ていましたが、コーヒー豆の焙煎ほど多くはなく、香りもコーヒー豆の焙煎ほど部屋に充満することはありませんでした。

コーヒー豆なら1ハゼ・2ハゼという明確な目安がありますが(→KAKACOO焙煎記事の1ハゼ・2ハゼの音)、小麦では最後まではっきりしたハゼ音は確認できませんでした。
今回は弱火で200gを焙煎し、濃い茶褐色になるまで50分かかりました。小麦の性質だけでなく、投入量や火力設定も影響したと考えられるため、「小麦は必ず50分かかる」という意味ではありません。
途中、20分・30分・40分・50分の時点で少量ずつ取り出して並べてみると、色の進み方がよく分かります。

50分後は全体が濃い茶褐色になりました。ただし、小麦とコーヒー豆では色づき方や表面の変化が異なるため、コーヒーの「中深煎り」「深煎り」にそのまま当てはめることはできません。少なくとも、表面が黒く油脂で光るような状態や、強い焦げ臭が出るところまでは進めていません。重量は200g→167.5gになりました。

今回使用した小麦が外へこぼれずに回転した点では、KAKACOOのガラスドラム構造が扱いやすいと感じました。側面に粒が落下するような多数の穴がなく、透明なため、焙煎中の色の変化を確認しながら進められたのも助かりました。ただし、小麦の粒径や焙煎機の構造によって結果は異なるため、別の機種でも同じように使えるとは限りません。
コーヒー豆を焙煎したときのように、大量の薄皮が剥がれて舞うことはありませんでした。少なくとも今回使用した玄小麦では、チャフの処理はほとんど必要ありませんでした。
※KAKACOOは本来コーヒー豆用の焙煎機です。今回のように本来の用途とは異なる材料を焙煎する場合は、取扱説明書を確認し、異常な音、煙、モーターの過熱などがあれば中止してください。特に今回のような50分の連続運転では注意が必要です。
袋に入れた焙煎小麦を見た妻の第一声は——
「麦チョコかと思った。」
確かに、見た目は完全に麦チョコです。
失敗 — ペーパードリップで詰まった
まずは普段のコーヒーと同じように淹れてみます。ミルで挽いて、ペーパードリップ。

ところが、お湯を注ぐと様子がおかしい。何分経っても、お湯がペーパーの中に溜まったまま、下の器にほとんど落ちてこないのです。

また、普段のコーヒーでは蒸らしの際に粉がふっくら膨らみますが、今回の焙煎小麦では、同じような膨らみは見られませんでした。一般に、コーヒー粉が蒸らしで膨らむ主な理由のひとつは、焙煎で生じた二酸化炭素が豆の多孔質な構造に保持され、注湯時に放出されるためです。いつものコーヒーを淹れる感覚でお湯を注いだのですが、正確な湯量は計っていません。ドリッパーの液面はほとんど下がらないまま終了し、カップにはごく少量しか溜まりませんでした。わずかに落ちた液を味見すると、濃い麦茶とコーヒーの中間のような味で、方向性は悪くないのですが、抽出としては完全に失敗です。

なぜ詰まったのか
目詰まりには、小麦に多く含まれる澱粉と、粉砕時に生じた細かな粉が関係した可能性があります。熱湯による澱粉の糊化に加え、微粉がペーパーの目を塞いだことも考えられます。ただし、今回は挽き目や微粉量を変えて比較していないため、原因を一つには断定できません。
麦茶や玄米コーヒーが昔から「煮出し」なのは、こういうことと関係があるのかと、失敗して初めて考えるようになりました。玄米コーヒーについても、目詰まりを避けるための淹れ方や、煮出しでの抽出を紹介している例がありました(参考サイト)。今回の私の条件ではペーパードリップが目詰まりしましたが、伊計島の「小麦珈琲」のように紙フィルターで抽出できるよう作られている製品もあるので、「穀物はペーパードリップできない」というわけではなく、あくまで今回の粉砕・抽出条件では詰まった、というのが正確なところです。
リベンジ — 煮出しで淹れ直す
ということで、麦茶と同じ煮出しに切り替えます。今回試した3パターンをまとめると、以下の通りです。
| 試行 | 小麦 | 水・湯 | 粉砕 | 加熱・抽出時間 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| ペーパードリップ | 20g | 未計量(いつもの感覚で注いだ。ドリッパーの液面はほとんど下がらず終了) | 中挽き | — | 目詰まり |
| 粒のまま煮出し | 20g | 400ml | 粒のまま | 沸騰後5分 | 非常に薄い |
| 挽いて煮出し | 20g | 400ml | 中挽き | 沸騰後5分 | 濃い麦茶〜コーヒー風 |
そのまま(粒のまま)煮出し:薄すぎた
まず焙煎小麦を挽かずに粒のまま、お茶だしパックに入れて5分煮出しました。

結果は、かなり薄い。妻の評価は——
「生後0ヶ月のベビー麦茶。」
言い得て妙です。粒のままでは、5分程度の煮出しでは成分が出にくいようです。
挽いてから煮出し:麦茶とコーヒーの間へ
次に、ミルで挽いてから煮出してみました。

今度は濃く、十分に抽出された麦茶のような液になりました。今回の焙煎条件では、味は麦茶とコーヒーの間のように感じられました。焙煎時間の異なる小麦を同条件で飲み比べていないため、焙煎による変化は今後の検証課題です。「美味しい」とまでは言えませんが、麦茶として飲む分には良いかな、というところ。ようやく「小麦コーヒー」と呼べるものになりました。
分量の発見:同じスプーン1杯でも20g
面白かったのは計量です。普段コーヒー豆を計るスプーンは1杯で約10gですが、同じスプーンで焙煎小麦をすくうと約20gになりました。

焙煎小麦はコーヒー豆より粒が小さく、スプーンの中の隙間も少ないため、同じ体積でも重量が大きくなりました。同じ「1杯」でも中身は2倍——コーヒー豆の軽さと形状を、思わぬところで実感しました。
ドリップできている人は何が違うのか
沖縄・伊計島の小麦「島麦かな」を使った「小麦珈琲」を紹介しているnoteの記事では、ペーパードリップで抽出されています。読み込むと、挽く工程で3種類のメッシュを使って粉を選別し、抽出に適した粗さへ整えているとのことでした。写真の焙煎色も、しっかり深く焙煎されているようでした。
なお、この記事では便宜上「小麦コーヒー」という一般的な呼び方で通していますが、「小麦珈琲」は沖縄・伊計島の商品名です。混同しないよう、以降も商品名を指す場合は「小麦珈琲」と表記します。
私のドリップとの違いとして考えられるのは、焙煎の進み具合だけでなく、粉砕後の粒度調整や使用量、注湯方法です。どの要素が目詰まりを防いでいるのかは、現時点では分かりません。
小麦コーヒーがコーヒーについて教えてくれたこと
今回の実験で分かったことを整理します。
- KAKACOOで小麦は焙煎できた。 ただし50分と長丁場でした。私がKAKACOOで普段コーヒー豆を焙煎するときは、通常十数分で終了します。投入量や火力設定も影響したと考えられ、「小麦は必ず時間がかかる」とまでは言えません
- 今回の焙煎条件では、味は麦茶とコーヒーの間だった。 今回は弱火でじっくり行いましたが、ここまで時間がかかるとは思っておらず、50分で終了しています。もし次回試すなら、もう少し火力を上げ、焦げに注意しながら焙煎を進めてみたいと思います。実際に商品として仕上げるまでには、焙煎や粉砕、抽出に多くの工夫が重ねられているのだろうと感じました
- ハゼははっきりしない。 今回はコーヒーのような明確なハゼ音を確認できなかったため、色と香りを主な目安にしました
- 今回の挽き方ではペーパードリップが目詰まりした。 澱粉や微粉が関係した可能性があり、煮出しの方が安定して抽出できました
- 今回の条件では、粒のままより挽いた方が濃く抽出された。 20gを400mlの水で5分間煮出したところ、粒のままでは薄く、中挽きにすると十分な濃さになりました
そしてこれらは、コーヒー豆という素材について考えるきっかけにもなりました。膨らみやドリップのしやすさ、焙煎にかかる時間——普段何気なく使っているコーヒー豆の性質を、比較対象があることで意識できました。
正直な結論
今回の条件では、小麦コーヒーは普段飲んでいるコーヒーの代わりにはなりませんでした。一方、香ばしい穀物飲料として見れば、煮出し方や焙煎時間、火力を調整する余地があります。
何より印象に残ったのは、焙煎したコーヒー豆が、挽いてお湯を注ぐだけで香り・甘み・酸味を含む液体になることのすごさでした。小麦を焙煎し、ドリップで詰まり、煮出してみたからこそ、いつもの一杯が「よくできた素材」だけでなく、長い栽培・精製・焙煎技術の上に成り立っていることを改めて感じました。
いつか沖縄に行く機会があれば、伊計島で商品化されている小麦珈琲を飲んでみたいと思っています。商品として作られた小麦珈琲は、私の自家製とどう違うのか。答え合わせが楽しみです。
※小麦コーヒーは小麦(グルテンを含む)を原料としています。小麦アレルギーのある方はご注意ください。使用した器具に小麦由来の成分が残る可能性があるため、その後にコーヒーを淹れて他人へ提供する場合にもご注意ください。
※小麦自体はカフェインを含みません。ただし、今回はコーヒー用の焙煎機やミルを共用しているため、厳密な「カフェインゼロ」を保証するものではありません。