コロンビア・ストロベリーを自家焙煎|本当にいちごの香りがする?708との違いを検証

コロンビア・ストロベリーを自家焙煎|本当にいちごの香りがする?708との違いを検証

生豆本舗「コロンビア/ストロベリー」を自家焙煎。発酵工程でストロベリーを加えるインフューズド系コーヒーは、本当にいちごの香りがするのか。708 Colombia Aroma Nativoとの違いも検証しました。


目次
  1. 今回焙煎した「コロンビア/ストロベリー」
  2. 生豆の時点ですでに少し甘い
  3. KAKACOOで326gを焙煎
  4. 焙煎2〜3分から、温めたイチゴのような甘い香り
  5. 妻に詳しいことを伝えず飲んでもらった
  6. 708に似ている。でも、同じではない
  7. 708は「コーヒーと果実が一体」、今回は「ストロベリーの印象が強い」
  8. 私には「ストロベリーチョコ」のように感じた
  9. 次回は1ハゼ後の時間をもう少し短く
  10. 焙煎4日後、果実感がより前に出た
  11. 美味しい。でも、かなり好みは分かれると思う
  12. 「プレゼントに面白そう」という妻の感想
  13. まとめ|本当にストロベリーを感じる。でも、それ以上に面白い一杯だった

「ストロベリー」という名前のコーヒー。

コーヒー豆からイチゴのような香りが自然に出ている、という意味ではありません。

今回購入した生豆本舗の「コロンビア/ストロベリー」は、発酵工程で実際にストロベリーを加える、いわゆるインフューズド系のコーヒーです。

以前、PHILOCOFFEAの「708 Colombia Aroma Nativo」を飲んだとき、果実を加えていないにもかかわらず、グレープやライチを思わせる非常に強い果実感に驚きました。

あのとき感じたのは、

「コーヒーチェリーそのものの発酵で、ここまでフルーティーになるのか」

という驚きでした。

では逆に、実際にストロベリーを使って発酵させたコーヒーは、どんな味になるのでしょうか。

今回は生豆の状態から観察し、自宅のKAKACOOで焙煎。

焙煎中の香りの変化も記録し、いつものペーパードリップで飲んでみました。

さらに妻にも詳しい説明をせずに試飲してもらいました。

結論から言うと、

ちゃんとストロベリーを感じます。

ただし、それだけではありませんでした。


今回焙煎した「コロンビア/ストロベリー」

生豆本舗「COLOMBIA STRAWBERRY」1kgのパッケージ(推奨焙煎度ハイロースト)

今回購入したのは、生豆本舗で販売されている「コロンビア/ストロベリー」。

コロンビア・キンディオ県アルメニア市のMazatlan農園で生産されたカスティージョ種です。

特徴的なのが精製方法。

発酵工程でストロベリーを加え、72時間の嫌気性発酵を行った後、乾燥させるインフューズド・ハニーとされています。

一般的なウォッシュドやナチュラルとはかなり異なるアプローチです。

以前飲んだPHILOCOFFEA「708 Colombia Aroma Nativo」は、果実を加えず、Honey Double Fermentationという発酵設計によってグレープやライチのような香りを引き出したコーヒーでした。

今回は、その対極ともいえる存在。

実際に果実を加えると、コーヒーはどう変わるのか。

そこにも興味がありました。


生豆の時点ですでに少し甘い

ハンドピッキング前のコロンビア・ストロベリーの生豆

今回は1kg購入。

その中から333gを取り出して、まずハンドピッキングしました。

粒の大きさは中程度。

色は緑色だけでなく、少し黄色味も感じます。

一般的なウォッシュドの生豆とは少し違う、独特な見た目です。

そして袋を開けた直後から、わずかに甘い香りがしました。

手に取って近くで確認すると、やはり甘い。

さらに意識して嗅ぐと、ベリー系を連想するような香りもあります。

もちろん「ストロベリー」という名前を知った状態なので、先入観は否定できません。

それでも、普段扱う生豆とは少し違う香りです。

ハンドピッキング

ハンドピッキングで取り除いたコロンビア・ストロベリーの欠点豆

333gから欠点豆などを34個取り除き、

333g → 326g

となりました。

約7g、重量では約2%です。

この326gを焙煎しました。


KAKACOOで326gを焙煎

KAKACOOに投入した直後のコロンビア・ストロベリー生豆

今回の焙煎条件はこちら。

  • 生豆:326g
  • 予熱:180℃
  • 火力:弱火からスタート、途中から中火寄り
  • 1ハゼ:13分28秒/203℃
  • 焙煎終了:15分48秒/213℃
  • 焙煎後重量:281g

326gから281gになったので、重量減少率は約13.8%。

焙煎の記録は次のようになりました。

時間温度・変化
0:00投入
2〜3分すでに甘い香り
4:00チャフが出始める
4:30150℃
5:00煙。温めたイチゴを連想する甘い香り
6:00豆がふっくら。黄色っぽくなる
7:00162℃
8:30167℃
10:00176℃
11:00183℃
13:00199℃
13:28203℃、1ハゼ
15:48213℃、終了

焙煎2〜3分から、温めたイチゴのような甘い香り

今回、焙煎中に最も印象的だったのは香りでした。

投入からわずか2〜3分。

まだ焙煎のかなり序盤なのに、すでに甘い香りが漂ってきます。

ただ、その時点でも、私にはフレッシュなイチゴそのものというより、

「温めたイチゴ」「加熱で甘さが出たイチゴ」

のような印象がやや強く感じられました。

生のイチゴを切ったときのようなみずみずしい香りというより、火が入り始めた果実の甘さに近い感覚です。

4分頃にはチャフが出始め、4分30秒で150℃。

5分頃になると、その甘い香りがさらに分かりやすくなりました。

煙が出始める中に、イチゴを連想する甘さがあります。

ただし、イチゴジャムやイチゴキャンディーのように分かりやすく香料的な香り、というほどではありません。

あくまでコーヒーの焙煎香の中に、通常とは違う甘い果実感が混じっているような印象です。

KAKACOOでのコロンビア・ストロベリーの焙煎中の色変化(黄色→茶色っぽく→茶色→焙煎後)

さらに焙煎が進むにつれて、その香りは少しずつジャムのような甘さに近づき、そこへチョコレートのような甘さやビター感も加わっていきました。

私の中では、

温めたイチゴ → ジャムのような甘さ → チョコレートとビター感を伴うベリー

という変化に近かったです。

一方、心配していた発酵由来のネガティブな香りは、気になるほどではありませんでした。

インフューズドで72時間の嫌気性発酵と聞くと独特の香りを心配する方もいるかもしれませんが、少なくとも今回の焙煎中の香りに関して、私はネガティブに感じる場面はありませんでした。

煙の量自体は少なくありませんでしたが、いつもの焙煎と比べて極端な違いは感じません。

それよりも、加熱されたイチゴのような甘さに、徐々にジャム感やビター感が加わっていく香りの変化が印象に残りました。


妻に詳しいことを伝えず飲んでもらった

焙煎後、いつものペーパードリップで抽出しました。

条件は、粉20g、湯300g、92℃、中挽きです。

ペーパードリップしたコロンビア・ストロベリーと、福右衛門のカップに注いだ様子

ここで一つ問題があります。

私はこの豆が「コロンビア・ストロベリー」であることを知っています。

そうなると、

「イチゴだと思って飲んでいるから、イチゴに感じるのでは?」

という可能性があります。

そこで妻には詳しいことを伝えず、飲んでもらいました。

一口飲んだ直後の反応は、

「うわっ、すごい。」

続いて出てきたのが、

「もらったコーヒー、708みたい。」

という言葉でした。

さらに、

「ラズベリーチョコみたい。」

とのこと。

これはかなり面白い表現でした。

妻はほかにも、

  • コーヒー感はあるけれど全然苦くない
  • 香りと味が一致している
  • また飲みたい
  • 美味しい
  • 冷めても美味しい
  • プレゼントにしたら面白そう

と話していました。

特に「708みたい」という第一印象は興味深いものでした。


708に似ている。でも、同じではない

以前記事にしたPHILOCOFFEA「708 Colombia Aroma Nativo」も、非常に強い果実感を持つコーヒーでした。

グレープやライチの香りが強く、

「これ、本当にインフューズドではないの?」

と思ったほどです。

しかし708では、少なくとも商品説明上、外から果実を加えているわけではありません。

完熟したコーヒーチェリーを使い、Honey Double Fermentationによってチェリー自身が持つ香りを引き出しています。

今回のストロベリーとは、そこが決定的に違います。

708

コーヒーチェリー自身の発酵 → グレープ、ライチ系の果実感

コロンビア・ストロベリー

ストロベリーを加えて発酵 → ストロベリー、ラズベリー系の果実感

どちらも飲んだ瞬間に「果物」を連想するという点では似ています。

しかし私には、味の成り立ち方が少し違って感じられました。


708は「コーヒーと果実が一体」、今回は「ストロベリーの印象が強い」

708を飲んだときに強く感じたのは、

果実の香りとコーヒーの酸味・甘みが、一つの味としてまとまっている

という感覚でした。

グレープの香りだけが上に乗っているというよりも、

「このコーヒーそのものがグレープのような味をしている」

と感じます。

一方、今回のストロベリーは少し印象が違いました。

飲んでいて、

ストロベリーを思わせる香りの印象がかなり強く、味わいまでその方向に感じられる

という感覚があります。

良い悪いではなく、方向性の違いです。

708では、

「コーヒーチェリーからどうしてこの香りが出るのだろう」

と驚きました。

今回はこちらです。

「ストロベリーの香りがここまで強いと、味わいまでその方向に感じられるんだ。」

という驚きでした。

もちろん、香りの印象に味覚が引っ張られている部分もあるのかもしれません。

ただし、事前情報を伝えていない妻からもストロベリーやラズベリーを思わせる反応が返ってきたので、少なくとも「私の思い込みだけで感じている味」ではないと言えそうです。

飲んでいる間の印象としては、ストロベリーやラズベリーを思わせる果実感がかなりはっきりしていました。


私には「ストロベリーチョコ」のように感じた

しん窯青花のカップに注いだ自家焙煎コロンビア・ストロベリー

私自身が飲んで最初に感じたのは、やはりストロベリーのような果実感。

ただし、それだけではありません。

今回の焙煎では、チョコレートのような甘さと、わずかなビター感も感じました。

妻の「ラズベリーチョコ」という表現は、かなり的を射ているように思います。

温度が高いうちは特に、

チョコレートの甘さ+ボディ+ストロベリー

という印象。

もう少し味わいを分解すると、こんな感じでした。

  • 酸味:尖った酸ではなく、穏やかで程よい。柑橘系のような明るい酸ではない
  • ボディ:ミディアム。軽すぎず重すぎず、バランスが良い
  • 後味:中程度で、ビター感あり
  • 余韻:中程度
  • その他:ワイニーな印象あり。ただし嫌な発酵臭は感じなかった

苦味の強いコーヒーではありません。

ただ、フレッシュなイチゴというよりも、チョコレートと合わせたベリーのような方向です。

ここで思ったのが、

「今回の焙煎、1ハゼ後の時間をもう少し短くしたらどうなるのだろう?」

ということでした。


次回は1ハゼ後の時間をもう少し短く

今回の焙煎では213℃まで進めています。

推奨されていた焙煎度がハイローストだったので、そこを狙って焙煎しました。

結果として、ストロベリーの果実感に加えて、焙煎由来と思われるチョコレート的な甘さやボディも出ました。

それはそれで美味しい。

ただ、この豆のストロベリーらしさをさらに前に出したいなら、

1ハゼ後の終了時間をもう少し短くしてみたい

と感じました。

今回は1ハゼが13分28秒/203℃、終了が15分48秒/213℃。

1ハゼから終了まで約2分20秒あります。

ここをもう少し短く切り上げて、酸味を残し、チョコレート的な印象を抑えれば、

よりフレッシュなストロベリーやラズベリーの方向になるのではないか。

そう考えています。


焙煎4日後、果実感がより前に出た

もう一つ興味深かったのが、焙煎後の日数による変化です。

焙煎4日後にもう一度飲んでみると、焙煎直後に感じていたチョコレートのような印象がやや弱くなり、代わって酸味とフルーティーさがより前に出たように感じました。

ストロベリーの存在も、少し分かりやすくなった印象です。

もちろん、4日後に果実味そのものが新しく増えた、ということではないと思います。

焙煎後の脱ガスや香味の落ち着きによって、最初に感じていたロースト感やチョコレートのような印象が少し引き、相対的にストロベリー系の果実感を捉えやすくなったのかもしれません。

708でも、焙煎後の日数によって酸味・甘み・香りのまとまり方が変化しました。

今回のストロベリーも、焙煎した直後だけで判断するより、数日かけて飲んだ方が面白い豆だと思います。

今後さらに日数を置いて、どこまで変化するのかも確認してみたいところです。


美味しい。でも、かなり好みは分かれると思う

今回、私は美味しく飲むことができました。

妻の評価もかなり高く、「また飲みたい」とのこと。

ただし、万人向けのコーヒーだとは思いません。

私は昔ながらの喫茶店で出てくるような深煎りのコーヒーも好きです。

しっかりとしたコクや苦味。

焙煎香。

そして、ウォッシュドやナチュラルといった精製方法から生まれる、コーヒーそのものの香りや味わい。

そうしたコーヒーを求めてこのストロベリーを飲むと、かなり違和感があると思います。

ストロベリーと発酵由来の複雑な香りが非常に強く、いわゆる「普通のコーヒー」の印象からはかなり離れています。

特に、

  • 昔ながらの深煎りが好き
  • コクと苦味を重視する
  • クリーンなウォッシュドが好き
  • コーヒーそのものの産地や品種由来の味を重視したい

という人には、必ずしも向かないでしょう。

逆に、

  • フルーティーな浅煎りが好き
  • 発酵系コーヒーが好き
  • インフューズドを体験してみたい
  • 普通とは違うコーヒーを飲んでみたい

という人には、かなり面白いと思います。


「プレゼントに面白そう」という妻の感想

妻の、

「プレゼントにしたら面白そう」

という感想も印象に残りました。

確かに、この豆はコーヒーに詳しくない人でも違いが分かりやすいと思います。

袋を開ける。

香りを嗅ぐ。

飲んでみる。

それだけで、

「いつものコーヒーとは何か違う」

と感じやすい。

そして、

「実はこれ、発酵するときにストロベリーを使っているんだよ」

と説明すれば、一杯のコーヒーがちょっとした体験になります。

毎日飲み続ける定番豆というより、

誰かと一緒に飲んで、感想を話したくなるコーヒー。

今回のストロベリーには、そんな面白さがあります。


まとめ|本当にストロベリーを感じる。でも、それ以上に面白い一杯だった

今回のコロンビア・ストロベリー。

生豆の段階ですでに少し甘い香りがあり、焙煎を始めると2〜3分という早い段階から甘い香りが広がりました。

その香りは、フレッシュなイチゴというより、最初からやや「温めたイチゴ」のような甘さに近く、焙煎が進むにつれてジャム、チョコレート、ビター感を伴うベリーのような方向へ変化していきました。

抽出して飲むと、ストロベリーやラズベリーを思わせる果実感。

そして今回の焙煎では、チョコレートのような甘さとボディも感じました。

酸味は穏やかで柑橘系のような明るさではなく、ボディはミディアム。

後味には程よいビター感があり、ワイニーな印象もあります。

ただし、発酵由来のネガティブな香りは気になりませんでした。

妻の、

「ラズベリーチョコみたい」

という表現が、今回の一杯にはよく合っています。

さらに焙煎4日後には、チョコレートの印象がやや弱まり、相対的に酸味とストロベリー感が前に出た印象でした。

そして何より面白かったのは、以前飲んだ708との違いです。

708は、コーヒーチェリー自身の果実感を引き出したように感じたコーヒー。

一方、今回のストロベリーは、コーヒーという素材に新しい果実の個性を重ねたように感じるコーヒーでした。

どちらが優れているという話ではありません。

アプローチそのものが違います。

そして両方を飲んでみることで、

「精製でコーヒーはどこまで変わるのか」

という世界が、以前より少し見えてきたような気がします。

インフューズドとして飲むなら、今回のストロベリーはとても美味しく、面白いコーヒーでした。

ただし、昔ながらの深煎りや、コーヒー本来の苦味・コクを求める方にはかなり好みが分かれるでしょう。

そして次に試したいことは、

1ハゼ後の終了時間をもう少し短く切り上げ、このストロベリーがどこまでフレッシュな方向に振れるのか。

今回よりチョコレート感を抑え、果実感を前に出せば、また違った表情になるはずです。

1kg購入したので、次はこの調整で試してみようと思います。

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