豆香洞コーヒーを訪問|世界一の焙煎技術と、日常に寄り添う福岡のコーヒー店

豆香洞コーヒーを訪問|世界一の焙煎技術と、日常に寄り添う福岡のコーヒー店

福岡県大野城市白木原の豆香洞コーヒーを訪問。初代世界焙煎チャンピオン後藤直紀さんが営む店の、テイクアウトと豆販売中心の今の姿、TASTE IMAGE CHART、豆香洞ブレンドとエチオピア ハイレセラシエのテイスティングノートまで、十数年通う筆者の視点でレポートします。


目次
  1. 初代世界チャンピオンがいる、白木原のコーヒー店
  2. 昔は、後藤さんが目の前で一杯ずつ淹れてくれた
  3. 2026年現在、白木原店はテイクアウトと豆販売が中心
  4. マイルドブレンドとアイスカフェラテをテイクアウト
  5. 豆香洞ブレンドとエチオピアを200gずつ購入
  6. 豆香洞ブレンド|どこか懐かしく、また飲みたくなる味
  7. エチオピア ハイレセラシエ|甘い香りとバランスの良さ
  8. 世界一の技術が、日常の一杯にある
  9. 昔から変わらない扇形ドリッパーにも感じる、豆香洞らしさ
  10. 私にとって豆香洞は「帰ってくる」コーヒー
  11. 豆香洞コーヒー 白木原店

2026年8月、福岡県大野城市の白木原にある「豆香洞コーヒー」を訪れました。

豆香洞コーヒーを訪れるのは、今回が初めてではありません。

最初に訪れたのは、2013年の秋だったと思います。

後藤直紀さんは2012年のジャパンコーヒーロースティングチャレンジで優勝し、日本代表として翌2013年6月にフランス・ニースで開催された第1回World Coffee Roasting Championshipに出場、初代世界チャンピオンに輝きました。

そのニュースを知り、「福岡にものすごい焙煎士がいる」と足を運んだのが始まりでした。

私は福岡へ行く機会があると、今でも年に数回ほど豆香洞コーヒーに立ち寄っています。

十数年通い続けていますが、不思議とここには「有名店へ行く」という少し緊張した感覚がありません。

むしろ私にとって豆香洞は、いつものコーヒーを買いに戻ってくるような場所です。

豆香洞コーヒー白木原店の入口と外観

初代世界チャンピオンがいる、白木原のコーヒー店

豆香洞コーヒーのオーナー焙煎士、後藤直紀さんは、2013年の第1回World Coffee Roasting Championshipで優勝した、初代世界チャンピオンです。

その肩書だけを見ると、少し敷居の高い店を想像するかもしれません。

けれど、私が長く通ってきて感じる豆香洞の魅力は、むしろ気負わずに足を運べるところにあります。

白木原の店には、近所の方が普段使いの豆を買いに訪れます。

特別な日に飲むコーヒーというより、生活の中にあるコーヒー。

世界レベルの焙煎技術を、家庭のいつもの一杯として楽しめる。

そこに豆香洞らしさがあるように思います。

豆香洞の公式サイトには、

「コーヒーのおいしさは人それぞれ。飲む方一人一人の心の中にあります」

という考え方が紹介されています。

良質な生豆を選び、職人が豆の状態を見ながら焙煎する。

その一方で、飲み手に特定の価値観を押しつけるのではなく、それぞれが自分にとっておいしいコーヒーを見つける手助けをする。

長くこの店を見てきた私には、とても豆香洞らしい言葉に感じられます。

昔は、後藤さんが目の前で一杯ずつ淹れてくれた

初めて訪れた頃の白木原店では、店内でコーヒーを飲むことができました。

当時は後藤さん自身が、一杯一杯丁寧にドリップしてくださっていた記憶があります。

目の前でお湯を注ぎながらコーヒーを淹れてもらい、そのまま店内で飲む。

今振り返ると、とても贅沢な時間でした。

その後、豆香洞コーヒーは広く知られるようになり、店舗も増えました。

私が年に何度か訪れるタイミングでは、いつしか白木原で後藤さんを見かけることも少なくなりました。

少し寂しい気持ちがないわけではありません。

ただ、それはおそらく豆香洞という店が成長し、焙煎やコーヒーに対する考え方がより多くの人へ伝わるようになった結果でもあるのでしょう。

以前訪れたCOFFEE COUNTYでも感じましたが、良い店が成長すれば、最初に通っていた頃と同じ形ではなくなっていきます。

それでも、その店の根にあるものが残っていれば、また訪れたくなるものです。

豆香洞コーヒー白木原店のカウンター

2026年現在、白木原店はテイクアウトと豆販売が中心

現在の白木原店では、コーヒーの提供はテイクアウトのみとなっており、店内ではコーヒー豆や器具などを購入できます。

店に入ると、カウンターの奥にはさまざまな豆が並び、味の傾向が一目で分かる「TASTE IMAGE CHART」も掲げられています。

酸味と苦味、香りやボディなどを基準に、好みに近い豆を探しやすくなっています。

豆香洞コーヒー白木原店の店内、テイストチャート、商品棚、レジ、テイクアウトメニュー

そして店の一角には、大きな赤い焙煎機。

豆香洞という店が、何より「焙煎」を大切にしている場所であることが伝わってきます。

専用駐車場は2台分。この日は運よく停めることができました。

豆香洞コーヒー白木原店に設置された赤いコーヒー焙煎機と専用駐車場

マイルドブレンドとアイスカフェラテをテイクアウト

豆香洞コーヒーでテイクアウトしたマイルドブレンドとアイスカフェラテ、添えられたロータスビスコフ

今回、まず注文したのはマイルドブレンドのホット。

そしてアイスカフェラテです。

マイルドブレンドは、定番の豆香洞ブレンドよりも浅めの焙煎。

飲み始めには酸味を感じ、その後から穏やかな苦味がついてくる印象でした。

華やかな酸味一辺倒ではなく、苦味とのバランスが取れていて飲みやすい。

白木原の店先で飲むと、「ああ、豆香洞に来たな」と感じます。

アイスカフェラテも印象的でした。

コーヒーの存在感を残しながら、ミルクの自然な甘さもしっかり感じられます。

暑い夏の日でしたが、店を出てすぐに飲むカフェラテとして、とても心地よい一杯でした。

テイクアウトには、今回もロータスビスコフのクッキーが添えられていました。

パッケージには「Every coffee wants Biscoff」の文字。

コーヒーと一緒にこういう小さなおまけが付いてくるのも、どこか親しみを感じます。

豆香洞ブレンドとエチオピアを200gずつ購入

今回は自宅用として、

  • 豆香洞ブレンド
  • エチオピア ハイレセラシエ

を、それぞれ200gずつ豆の状態で購入しました。

豆香洞コーヒーで購入した豆香洞ブレンドとエチオピア ハイレセラシエ

豆香洞コーヒーへ行くと、私は定番の豆香洞ブレンドを買うことが多いです。

新しい豆や華やかなスペシャルティコーヒーも好きですが、豆香洞ブレンドには、それとは少し違う魅力があります。

自宅では、豆20g、湯量300ml、扇形ドリッパーで抽出しました。挽き目は中挽き程度です。

豆香洞ブレンド|どこか懐かしく、また飲みたくなる味

豆香洞ブレンドは、しっかりしたコクと適度な苦味があります。

最近よく見かける、浅煎りで華やかな果実味を強調したスペシャルティコーヒーとは、少し方向性が違います。

どこか懐かしい。

そして、ほっとする。

派手に驚かせるというより、何度でも手が伸びるような味です。

これが私が豆香洞を訪れると、何度もこのブレンドを買ってしまう理由なのかもしれません。

豆香洞ブレンドの焙煎豆

Tasting Notes

  • 香り:チョコレート、香ばしいナッツ
  • 酸味:控えめ
  • 甘味:中程度
  • 苦味:中程度
  • ボディ:中程度
  • 後味:比較的短く、すっきり
  • 好み:かなり好み。王道の安定感があり、日常的に飲みたい

エチオピア ハイレセラシエ|甘い香りとバランスの良さ

もう一つ購入したのが、エチオピア ハイレセラシエ。

店頭でスタッフの方に伺ったところ、今回の豆はイルガチェフェ産の3種のコーヒーを組み合わせたものとのことでした。

「ハイレセラシエ」とは現地の言葉で「三位一体の力」を意味し、エチオピアの皇帝の名前としても知られています。

3種のエチオピアコーヒーが織りなすブレンドに、まさにふさわしい名前だと感じました。

3種類のうちナチュラル精製の豆も使われているとのことで、袋を開けると、甘く熟した果実を思わせる香りが印象的でした。

そこに香ばしさも重なります。

実際に飲んでみても、酸味だけが前面に出るわけではありません。

酸味、コク、甘味がバランスよくまとまっています。

「エチオピアらしい華やかさ」を楽しみながら、気負わずに飲める親しみやすさも感じるコーヒーでした。

このクオリティの豆を気軽に買える環境が近所にある人は、少し羨ましくなります。

エチオピア ハイレセラシエの焙煎豆

Tasting Notes

  • 香り:柑橘、ベリー系、甘い
  • 酸味:中〜やや強め
  • 甘味:中〜やや強め
  • 苦味:弱め
  • ボディ:中程度
  • 後味:中程度
  • 好み:かなり好み。ナチュラルらしい華やかさがありながら、派手すぎずバランスがいい

世界一の技術が、日常の一杯にある

後藤さんが自分自身を表す言葉として使っている「おかかえ焙煎士」という表現が、私はとても好きです。

世界大会で優勝した焙煎士と聞くと、特別な技術を持つ遠い存在のようにも感じます。

けれど「おかかえ焙煎士」と言われると、一気に距離が近くなる。

自分のために、いつもの豆を焼いてくれる人。

そんな印象があります。

実際の豆香洞にも、肩肘を張った雰囲気はありません。

近所の方が歩いて店へやってきて、いつものように豆を買って帰る。

そんな光景が自然に似合います。

世界一の焙煎技術が、誰かの暮らしの中にさりげなく溶け込んでいる。

私はそこが好きなのだと思います。

昔から変わらない扇形ドリッパーにも感じる、豆香洞らしさ

もう一つ、初めて訪れた頃から印象に残っているのが豆香洞で使われているドリッパーです。

豆香洞では、以前から扇形のドリッパーを使っています。

最近ではさまざまな形状のドリッパーがあり、抽出理論もますます細かくなっています。

けれど扇形のドリッパーなら、フィルターもスーパーやホームセンターなどで簡単に手に入ります。

豆香洞がその理由で選んでいるのかは分かりません。

ただ私には、昔から変わらないこの道具にも、「良いコーヒーを、自宅で難しく考えずに楽しんでほしい」という姿勢が表れているように感じます。

高品質なコーヒーだからといって、特別な器具が必要なわけではない。

そんな気負わなさも、私が豆香洞を好きな理由の一つです。

豆香洞コーヒーで扇形ドリッパーを使ってコーヒーを抽出する様子

私にとって豆香洞は「帰ってくる」コーヒー

新しいコーヒーを飲むのは楽しいものです。

知らない産地、精製方法、新しい抽出器具。

コーヒーを知れば知るほど、試してみたいものは増えていきます。

それでも豆香洞のコーヒーを飲むと、私は少し違う感覚になります。

「新しいものを発見した」というより、

「帰ってきた」

という感覚です。

思えば、私のコーヒーの入口はスペシャルティコーヒーショップではなく、札幌にあった「珈琲専科 パイン舘」という昔ながらの喫茶店でした。

そこでコーヒーを飲み、気に入った豆を買って帰り、自宅でまた淹れる。

その後、産地や精製方法、焙煎、抽出器具について知るようになり、浅煎りの華やかなコーヒーを飲む機会も増えました。

それでも豆香洞のコーヒーには、あの頃の延長線上にあるものを感じます。

初代世界チャンピオンという実績がありながら、それを前面に押し出すのではなく、近所の人がいつもの豆を買いに来る。

家で普通に淹れて、繰り返し飲める。

それでいて、豆をじっくり味わえば確かな品質がある。

後藤さんのいう「おかかえ焙煎士」という言葉は、そんな豆香洞コーヒーをよく表しているように思います。

福岡へ行くと、また立ち寄りたくなる。

新しい店を探すというより、馴染みの場所へ戻るように。

私にとって豆香洞コーヒーは、そんなコーヒー屋さんです。

豆香洞コーヒー 白木原店

項目内容
所在地〒816-0943 福岡県大野城市白木原3-3-1
最寄り駅西鉄天神大牟田線 白木原駅 徒歩約2分
営業時間10:00〜18:00
定休日水曜日(木曜日は豆の販売のみ)
現在のスタイルコーヒー豆販売・テイクアウト
駐車場店舗専用2台分あり。満車の場合は近隣コインパーキング利用時のサービスあり
公式サイト豆香洞コーヒー

※営業時間・定休日・駐車場サービスなどは変更される場合があります。訪問前に公式サイトで最新情報をご確認ください。