
かうひい堂(門司港)訪問記|10年以上寝かせた「オールドコーヒー」とネルドリップ
門司港の喫茶店「かうひい堂」を訪問。2016年ブルンジのオールドコーヒーをネルドリップで味わい、スピリッツのチェイサーも体験。マスターに聞いた熟成の話やTOYOTOKIなど店内のカップも紹介します。
目次

2026年9月20日の夜、門司港の喫茶店「かうひい堂」を訪れました。
この日はBEB5門司港に泊まっていて、ホテルで夕食をとったあと、歩いてお店へ向かいました。
かうひい堂でいただいたのは、10年以上寝かせたオールドコーヒー。ネルドリップで淹れた濃厚な一杯に、チェイサーとしてスピリッツを合わせるという、これまでにない体験をしました。
この記事では、マスターに伺ったオールドコーヒーの話と、実際に飲んだ2杯の感想、そしてお店の棚に並ぶカップについてまとめます。
夜の門司港レトロを歩いて、かうひい堂へ
BEB5門司港からかうひい堂までは、Googleマップで徒歩14分ほど。短い散歩といった距離です。
あたりはもう暗くなっていましたが、ライトアップされた門司港駅や、港沿いの建物の明かりがきれいで、夜の門司港レトロを眺めながら歩くのも楽しい時間でした。

外観と店内|レトロな雰囲気のカウンター
お店に着いたのは19時20分ごろです。

店内はレトロな雰囲気で、席はカウンターに6席、奥のテーブルに2席ほど。マスターによると、ここでお店を始めて3年ほどで、店内はご自身で改装されたそうです。
入店したときは私一人でしたが、すぐにカップルが来店し、私のオールドコーヒーが淹れ終わるころには、もう一人別の男性が入ってきました。夜でも、ふらりと人が立ち寄るお店のようです。
店内にはコーヒーに関する本が並ぶ本棚もありました。

本棚には、コーヒーや喫茶店の本のほか、『北九州市の昭和』や『愛しの門司港』といった北九州・門司港にまつわる本も並んでいます。
マスターは古墳が好きだそうで、店内には『大日本古墳大事典』など古墳の本もありました。壁には王塚装飾古墳館のポスターも貼られていて、メニューには「古代オレ(古墳好きな方へ)」(800円)という一品もあります。古代オレがどんな一杯なのかは今回聞きそびれてしまったので、次に訪れたときに聞いてみたいと思います。
コーヒーの本と郷土の本、そして古墳の本が同じ店内に並んでいるところに、マスターの人柄が表れているように感じました。

マスターに聞いた「オールドコーヒー」の話
かうひい堂の看板メニューのひとつが、オールドコーヒーです。注文する前に、マスターにいろいろとお話を伺いました。

- 10年以上熟成させたものを提供。 オールドコーヒーの定義はいろいろあるそうですが、かうひい堂では10年以上熟成させたものをオールドコーヒーとして出しているとのことでした。マスターの表現では、ゆっくりと自然に発酵させていくイメージなのだそうです
- 長く寝かせるほど、味は抜けていく。 長期で熟成させると、基本的に味はだんだん抜けていくそうです。そのため深く焙煎すると苦味ばかりが強く感じられるようになり、あまり深煎りにはしないとのことでした。この日のオールドコーヒーも、2ハゼの直前で焙煎を止めているそうです
- 狙って味を作れるものではない。 以前、桃のような香りがするオールドコーヒーができたことがあり、それはとてもおいしかったそうです。ただ、狙ってそういう味に設計できるものではなく、納得のいく味にならずに処分せざるを得ないこともあるとのことでした
- 酸味の強い豆の方が、おいしくなりやすい。 そうした中でも、マスターの経験上、酸味の強い豆の方がおいしいオールドコーヒーになりやすい傾向があるそうです
長く寝かせればよいというものではなく、保管や熟成の管理も、最終的にどんな味になるかを見極めることも、かなり難しそうだと感じました。
オールドコーヒー(ブルンジ 2016)|濃厚な余韻とスピリッツのチェイサー
この日のオールドコーヒーは、2016年のブルンジでした。店内の「今月の珈琲」の貼り紙には2012年のドミニカ(モンテアルト)も書かれていましたが、売り切れとのことで、この日のオールドコーヒーはブルンジのみでした。
1杯あたり18gの豆を粗挽きにして、ネルドリップで抽出します。量は中濃(70cc)と濃厚(50cc)から選べ、今回は中濃の70ccで注文しました。メニューには「中濃、濃厚のみ。ミルクはつきません」とあり、オールドコーヒーは850円から。この日のブルンジは900円でした。

Tasting Notes
- 香り:やや発酵感を思わせる独特の香り
- 酸味:ほとんど感じない
- 果実感:ほぼ感じない
- 苦味:しっかり感じる
- 渋み:わずかに感じる
- ボディ:強い
- 後味:非常に長い
- 印象:丸みと濃厚な旨味。幾層にも重なるような、厚みのある味わい
マスターによると、水を飲まなければ20分以上は口の中に余韻が残るとのことでした。
コーヒーのチェイサーに、スピリッツ
コーヒーのあとに、水ではなくスピリッツを飲む。
メニューに「珈琲用チェイサーとしてのスピリッツ(単品でのご注文はご遠慮ください)」という一文がありました。
コーヒーのチェイサーにスピリッツを合わせるのは初めてで、そもそも、そういう考え方があること自体を知りませんでした。せっかくなので試しに注文してみることに。メニューにはいくつかのスピリッツが並んでいて(シングルのみ400円)、ドライだというデンマーク産のリキュール「ガメル・ダンスク」をいただきました。
実際に飲んでみると、オールドコーヒーの濃厚な余韻があるからこそ、スピリッツがチェイサーとして成り立つのだと分かります。
一緒にアーモンドシュガーも添えられていて、その甘さもオールドコーヒーによく合っていました。
かうひい堂ぶれんど|意外なほどすっきり、バランスの良いブレンド
もう一杯、かうひい堂ぶれんど(650円)も注文しました。メニューには「バランスが取れたブレンド」と書かれています。

Tasting Notes
- 甘味:あり
- 酸味:あり
- 印象:丸み、コク
- ボディ:中程度
- 後味:意外とすっきりしていて、キレがある
- 全体:バランスが良く、飲みやすい
オールドコーヒーを飲んだあとだったからかもしれませんが、相対的にすっきりとして、キレのある一杯に感じました。
今月のコーヒーと、豆の購入
メニューには「今月のコーヒー」として、かぼすコーヒー(850円)もありました。気になってマスターに聞いてみると、かうひい堂ブレンドをベースに、かぼすの果汁を加えた甘めの設計とのことでした。今回は注文しなかったので、次の機会に試してみたい一杯です。
コーヒー豆も購入できます。マスターによると、メニューにある豆は、在庫があればメニューの値段+100円で100g買えるそうです(メニュー表では「各種100g…750円より」)。今回は豆は買いませんでした。

棚に並ぶカップと、小倉生まれの「TOYOTOKI」
カウンターの奥の戸棚には、さまざまなカップが並んでいます。
この日の昼間に小倉の西日本陶磁器フェスタへ行ってきたことを話すと、マスターがいろいろなカップを見せてくださいました。
棚にはもっとたくさんのカップがあり、見せていただいたのはその一部です。マスターによると、内側が白いカップの方がコーヒーの色を見やすいため、棚にも白いものが多く並んでいるそうです。
マスターはお店を開くにあたってカップを選んで集めていたそうですが、気がついたら、当時はデミタス用のカップが多くなっていたとのこと。今は普通サイズのカップもあります。
その中に、現在のTOTOにつながる東洋陶器が作ったカップもありました。裏には「TOYOTOKI KOKURA JAPAN」の文字があります。
東洋陶器は1917年に小倉で創立され、現在のTOTOへとつながる会社です。創業初期には衛生陶器だけでなく食器も製造していました。門司港の喫茶店で、小倉の陶磁器産業の歴史を感じるカップに出会えたのはうれしい偶然でした。
同じ棚には、裏に「OAC OKURA」の印がある大倉陶園のカップもありました。大倉陶園は1919年、大倉孫兵衛・和親父子によって創業された洋食器メーカーです。大倉和親は、現在のTOTOにつながる東洋陶器の創立にも深く関わり、初代社長を務めました。
小倉で生まれた東洋陶器のカップと、大倉家につながる大倉陶園のカップ。日本の近代陶磁器の歴史につながる二つの器が、門司港の喫茶店の同じ棚に並んでいるのは、面白い巡り合わせだと感じました。

ほかにも、ロイヤルコペンハーゲンやリチャード・ジノリ、ローゼンタールの「魔笛(Die Zauberflöte)」のソーサーなど、見せていただいたカップはどれも個性的でした。

また、門司港には陶磁器を展示している出光美術館があることも教えていただきました。今回は行けませんでしたが、次に門司港を訪れたときにはぜひ立ち寄ってみたいと思っています。
良かった点・気になった点
良かった点
- 10年以上寝かせたオールドコーヒーを、ネルドリップで味わえる
- オールドコーヒーやカップについて、マスターに直接話を聞ける
- スピリッツのチェイサーやアーモンドシュガーなど、コーヒーの楽しみ方の幅が広がる
- 夜でも立ち寄れて、門司港レトロの夜景散歩と組み合わせられる
気になった点
- 席はカウンター6席とテーブル2席ほど。大人数での来店には向かない
- オールドコーヒーは酸味やフルーティーさがほとんどなく、余韻も長い。華やかで軽やかなコーヒーが好みの人には好みが分かれそう
まとめ
オールドコーヒーそのものも印象に残りましたが、それ以上に面白かったのは、ネルドリップやスピリッツ、そして棚に並ぶカップまで含めて、一杯のコーヒーをさまざまな角度から楽しめたことでした。
華やかな浅煎りのスペシャルティコーヒーとはまったく違う方向の一杯です。門司港を再訪したときには、今回飲めなかったかぼすコーヒーや、別のオールドコーヒーも試してみたいと思います。
かうひい堂
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 福岡県北九州市門司区老松町1-11 |
| アクセス | BEB5門司港から徒歩約14分(Googleマップの表示) |
| 席数 | カウンター6席、奥にテーブル2席ほど(訪問時) |
| 抽出 | ネルドリップ |
| 価格の例 | かうひい堂ぶれんど 650円、オールドコーヒー 850円〜(この日のブルンジは900円)、かぼすコーヒー 850円、チェイサーのスピリッツ(シングル)400円 |
| 豆の購入 | 100g 750円〜(在庫があれば) |
※価格・メニューは2026年9月の訪問時のものです。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にご確認ください。
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