コーヒーの花が咲いた|南阿蘇で見た開花と着果の記録【後藤コーヒーファーム】
南阿蘇・後藤コーヒーファームで6月にコーヒーの花が開花。白い星形の花、3月の花が育った緑の実、カイガラムシとすす病の病害虫対策、育苗の様子まで栽培のリアルをレポート。
この記事でわかること
- コーヒーの花が咲く様子と、開花のタイミング
- 3月に咲いた花が、今どうなっているのか(着果の話)
- コーヒー栽培の手入れ(施肥・病害虫対策)のリアル
- 南阿蘇の農園で育つトロピカルフルーツのこと
はじめに
南阿蘇・後藤コーヒーファームに、オーナーツリーの様子を見に行ってきました。訪れたのは6月のある日。ハウスに足を踏み入れると、白い小さな花があちこちで咲いていました。
コーヒーの花です。

普段、焙煎した茶色い豆や、収穫前の赤いチェリーを目にすることはあっても、「花」を見る機会はなかなかありません。今日はその貴重なシーンに立ち会えました。
コーヒーの花が咲いた
コーヒーの花は、純白で星のような形をしています。ジャスミンにも似た清楚な姿で、よく見ると一つの節からいくつもの花が房になって咲いています。


コーヒーの花は新月と満月の頃に咲く?
後藤さんによると、コーヒーの花は新月や満月のあたりで咲くことが多く、月に2回ほど開花の波があるのだそうです。月の満ち欠けと開花が関係しているというのは、なんだか神秘的な話です。
コーヒーの花はジャスミンのような甘い香りがすると言われます。ただ、この日は少し事情がありました。訪問の少し前に鶏糞を撒いたばかりで、ハウスの中は花の香りよりも鶏糞の匂いのほうが勝っていたのです。特に気になるような匂いではありませんでしたが、「甘い花の香りに包まれて…」とはいかないのが、施肥直後の農園のリアルなところです。花の香りは、また次の機会のお楽しみにとっておきます。
3月に咲いた花が、今こうなっている
興味深かったのが、開花と実(着果)の時間差の話です。
今ついている緑色の小さな実は、3月頃に咲いていた花の跡なのだそうです。花が咲いてから実が育つまでには数ヶ月かかります。今日見た白い花たちも、これからゆっくりと実へと姿を変えていくのでしょう。


同じ一本の木に、咲いたばかりの花と、数ヶ月前の花から育った緑の実が同居している。この「時間のずれ」が一枚の枝に写っているのを見ると、コーヒーがいかに時間をかけて実っていくのかが実感できます。
コーヒー栽培の手入れ — 花と実を守るために
花が咲き、実がつくまでには、たくさんの手入れが必要です。今日の訪問では、後藤さんから栽培の苦労やこだわりをいろいろと伺いました。
施肥 — リンと、雨の降り方
コーヒーにはリンが必要とのことで、鶏糞肥料を2ヶ月に1度ほど与えているそうです。
面白いのが雨との関係です。梅雨で雨が降ると肥料が土に浸透していきますが、豪雨でドッと降ると肥料が流れていってしまう。だから、肥料が効くには「ほどほどの雨」がいい、というお話でした。天候まかせの部分が大きいのが農業のリアルなところです。
ちなみに、私が訪問したこの日はちょうど鶏糞を撒いて間もないタイミングでした。だからハウスに入ると花の香りより鶏糞の匂いが先に届いたわけですが、これも栽培現場のありのままの姿です。
病害虫対策 — カイガラムシとすす病
厄介なのがカイガラムシです。カイガラムシという害虫が木の下から登ってきて樹液を吸い、その排泄物を栄養にカビが繁殖すると「すす病」になります。すす病になると葉や実が黒くなり、光合成を妨げてしまいます。


特に着果したばかりの実はやられやすく、実のところにカビが生えると、後でごそっと取れて落ちてしまうのだとか。せっかくついた実が台無しになってしまいます。対策として木酢液を散布し、カビが発生した部分は近くから丁寧に処理しているそうです。
土づくり — 有機肥料と土着菌
また、堆肥や米ぬかなどの有機肥料を活用し、土着菌や微生物が働く土づくりにも力を入れているそうです。逆に化学肥料だけだと土が硬くなってしまうとのこと。土の中の小さな生き物まで含めて畑を育てているという考え方が印象的でした。

種から育つコーヒーも
ハウスの一角には、育苗中の小さな苗もありました。コーヒーの種(パーチメント)から芽が出て、双葉を広げたばかりの状態です。

今の時期だと、発芽までに40日ほどかかるそうです。種を植えた直後にたっぷりと水を与え、その後は水のあげすぎでカビが生えないよう、乾かない程度に水やりをするのがコツとのこと。
豆の状態から、こうして一本の木に育ち、やがて花を咲かせ、実をつける。「木から杯まで」の、まさに一番最初の段階です。
私のオーナーツリーにも、花が
実はこの農園には、私がオーナー契約をしているコーヒーの木が2本あります。オーナー契約の経緯はこちらの記事に詳しく書いています。1本はコナコーヒー、そしてもう1本が、3年ほどの若い木です。
この記事のアイキャッチで花を咲かせているのが、私のコナコーヒーの木です。今年もたくさんの花をつけてくれました。この木は節と節の間隔(節間)が短いのが特徴で、節間が詰まっているとそれだけ実がつく場所が増えるため、収量の面ではプラス要素になります。

もう1本の3年ほどの若い木のほうは、まだ背丈が低く、これまで一度も実をつけたことがありません。それが今年は、こうして花を咲かせてくれました。コナコーヒーほど花数は多くありませんが、順調にいけば初めての着果が期待できそうです。自分の木が初めて実をつけるかもしれない——そう思うと、今年の夏から秋がいっそう楽しみになります。

奥にはトロピカルフルーツも
後藤コーヒーファームでは、コーヒーの奥でパイナップルやマンゴー、バナナも育てられていました。南阿蘇の温暖なハウスならではの光景です。

今回はバナナをいただきました。まだ緑色ですが、室温に置いておいて黄色くなれば食べられるとのこと。追熟を待つ時間も含めて、農園からの贈り物です。
まとめ
今日の農園訪問では、コーヒーの白い花という貴重なシーンに立ち会えました。
- コーヒーの花は新月・満月のあたりで月2回ほど咲く
- 今ついている実は3月頃の花から育ったもの
- 花と実を守るために、施肥・病害虫対策・土づくりと手間がかかっている
普段飲んでいる一杯のコーヒーの裏側には、花が咲き、実が育ち、病害虫と向き合いながら手入れを続ける農園の日常があります。
来週は、木酢液の噴霧と若芽摘み(実に栄養がいくよう不要な芽を摘む作業)を本格的に行う予定です。その様子はまた別の記事でお伝えします。
